やさぐれ歯科医院

白い天使クリスチャン・ゼル博士を目指す歯科医の戯言

新歯学部生・新歯科医師の皆様へ

前回は「続く」なんて書きましたが、やはり予告は予告通りいかないものでして・・・いや、今更「手洗いは大事なんですよ」ってのも、「踏切が下りている時は線路を渡っちゃいけません」くらいアタリマエのことなんで、逆にまとめるのが難しいというか・・・他のHPを紹介して「これ見とけや!」ってぶん投げたほうがよっぽど楽チンなんですが。ま、そのうちアップします。

 

新歯学部生の皆様へ

入学式シーズンも一段落しました。

「1学年の数割が外国籍」や「教授から下っ端まで新興宗教信者な講座」など様々な大学がありますが、入学した以上は卒試・国試に無事最短距離で受かるように頑張ってください。

とにかく歯科医師国家試験に合格しないことには、皆さん単なる「歯に詳しい一般人」です。ライセンス業はライセンスを勝ち取ってこその仕事であり、「患者のために」とか「よりよい治療を」なんてのは合格してから考えてください。

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新歯科医師の皆様へ

歯科医師国家試験を無事に受かった皆様、ようこそブラック業界へ!

この業界は皆様の想像をはるかに超えたトンデモ歯科医師で満ちあふれています。

僕が接した先生の中で印象に残っているのは、某有名剣劇漫画で元新選組・斎藤一の「悪・即・斬!」ばりに「患者が少しでも症状を訴えたら、即・抜・髄!」という先生でした。

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冗談抜きに、どんなに齲蝕が小さくても情け容赦なく抜髄です。しかも患者が気づいていない齲蝕や嚢胞は、「症状のない歯を治療して痛みや腫れるのはトラブルになる」のでどんなに大きくても絶対に指摘しません。歯髄の保存という概念は悪魔の所業として絶対にさせません。


ですから患者の末路は

症状ある ⇒ 抜髄 or 抜歯

症状ない ⇒ 放置 ⇒ 痛い or 腫れる ⇒ 抜髄 or 抜歯

超シンプル!わかりやすい!

でも院長は大真面目に「歯が無くなる原因は歯周病だから、きちんと月一で通わせて手用スケーラーで丁寧にやらないといかん!」とスーパー予防歯科医師理念を実践し、そんなんではすぐに算定がアレなので、受付の奥様はせっせと架空請求しまくってました。

もう70歳を超えているはずですが、まだ現役なのでしょうか。

 

ここ数年のヒットでは、新しく作った部分入れ歯が簡単に外れて困る!という患者の訴えに、スーパーボンドで鈎歯に永久固定した先生ですかね。「外れて困るなら外れないようにすればいいじゃない♡」ってコペルニクス的転回・・・いやー、その発想はなかったわ。

 

こんな歯科医師達にならないように皆さん精進してください。

 

閑話休題

 

トンデモ式辞

先日、信州大学入学式での学長式辞が話題となりました。

スマホやめろ?またマスコミが悪意のあるタイトルで歪曲してんだろうと思って全文を見たら・・・

ほ、本当に言っているよこの学長。ちょっと抜粋します。

残念なことですが、昨今、この信州でもモノやサービスが溢れ始めました。その代表例は、携帯電話です。アニメやゲームなどいくらでも無為に時間を潰せる機会が増えています。スマホ依存症は知性、個性、独創性にとって毒以外の何物でもありません。スマホの「見慣れた世界」にいると、脳の取り込み情報は低下し、時間が速く過ぎ去ってしまいます。

「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」スイッチを切って、本を読みましょう。友達と話をしましょう。そして、自分で考えることを習慣づけましょう。自分の持つ知識を総動員して、ものごとを根本から考え、全力で行動することが、独創性豊かな信大生を育てます。

いやースゴイ。何時代の人なんでしょうか。昔々、紀元前にソクラテスが「文字なんか使うと記憶力が悪くなって浅薄を助長するだけ!」と文字批判していたらしい(批判するだけに書物なんか残していないのでプラトンとか弟子筋の表記)という話を思い出しました。

所詮スマホなんてツールでしかなく、使いこなすかどうかは本人次第なのですが最初から全否定とは・・・よくこんなトンチンカンで学長にまでなったものです。以前も学会で変な事を言いだした老害教授の話をしましたが、同じ香りがプンプンします。

 

 

アニメやゲームは無為に時間を潰す、などと人様の趣味にケチをつけるばかりか、スマホで脳の取り込み情報は低下するとか本の方が有益とか、妄想に次ぐ妄想。これが良識あると言われる方々の恐れる、単なる自分の想像をリアルと重ねあわせてしまうゲーム脳ってやつですね。

 

他大学からも物言いが・・・

さすがにこのトンデモ式辞には別大学の入学式で真っ向から否定する先生もいらっしゃいました。

細井学長はこれに「理解できない」と反発し「スマホが独創性豊かな学生を育てることを阻害しているエビデンス(証拠)はあるのか」と疑問を呈した。その上で「みなさんが学ぶのは証拠に基づいた医学、看護学で、どうもそうらしい、という固定観念は禁物」と述べ、新入生にスマホの利用を奨励した。

 至極真っ当な御意見だと思います。

 

一方東大では

実はこっちが本題で、是非皆さんに読んでほしいのは、東大卒業式での石井洋二郎氏の式辞です。長文ですが飽きさせません。東大HPにも全文はあるのですが、若干フォントが小さいのでこちらのページを。

あらゆることを疑い、あらゆる情報の真偽を自分の目で確認してみること、必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること、この健全な批判精神こそが、文系・理系を問わず、「教養学部」という同じ一つの名前の学部を卒業する皆さんに共通して求められる「教養」というものの本質なのだと、私は思います。

もうこの文章に尽きると思います。情報が溢れる現代社会ですが、歯科医師となった皆様には情報の取捨選択を間違えぬよう、自らの臨床も含め検証と批判を繰り返し、トンデモ歯科医師への道を歩まぬように願います。

あなたはこうしてだまされる 詐欺・悪徳商法100の手口

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