今回は患者さん向け。
顎変形症
世の中には顎変形症という病気がありまして、ざっくり書くと「アゴが出ていたり引っ込んでいたり、ひん曲がっている病気」です。
クッキングパパの下顎が出ているのなんかがそうですね。
この顎変形症、遺伝も絡んだりするのですが子供達は今のところ大丈夫なようです。
え、遺伝するの!?
遺伝で有名なのがスペインはハプスブルグ家。
近親結婚を繰り返した結果この立派な下顎が受け継がれていくことに。
アゴ・・・長いですね。
政略的背景のため近親結婚が続き、最後のカルロスⅡ世は知的障害と性的不能があったと言われ、世継ぎもできずお家断絶となりました。
閑話休題
これはネットに転がっていたのですが、出展の病院は色々な意味で一見の価値ありです。さすが美容手術大国の韓国、症例写真も半端ないわ。
最近は韓国で美容手術を受ける日本人もいますが、結局失敗して日本で後始末をする例も見ますので皆様お気をつけ下さい。
あとは下顎管が露出するまで下縁を削りまくっている症例とかで、レントゲン撮ってギョッとして「唇しびれませんか……?」と聞くと「全然感覚ないんですよね」という患者だったりとか。まぁ、日本でもそういう術者はいるんですが。
何故、顎変形症か
どこの口腔外科も手術件数を稼ぎたいですから、「まぁ…こんくらいの親知らず抜歯なら外来でもいけるけど…」なんて症例も全身麻酔でやったりしますので、とりあえず抜歯・嚢胞手術あたりは除外。
「癌」は症例によって重症度が幅広すぎるのです。小さな癌手術ばかりやっている病院もあれば、あちこちから匙を投げられたような患者を請け負う病院もあり、そうなると生存率も格段の差が出てきます。しかも外科手術が得意な病院と化学療法が得意な病院が混在するため、なかなか均一化した見方ができません。
顎変形症も重症度に差はあるのですが、方法は手術しかありませんから「ある程度」は均(なら)して見ることができます。この「均せる」カテゴリーには骨折や唇顎口蓋裂なんかも含まれるのでしょうが、話がややこしくなるので今回はパス。
で、行ってはいけない口腔外科ですが・・・
症例数を確認しよう!
「んなこたわかってるよ!」と言いたい気持ちはよくわかりますが、とりあえず話を進めます。
手術を決める前に、絶対に「ここ数年間の顎変形症手術件数」を確認しましょう。
週刊誌などで「病院の症例数を確認しよう」「症例数が多い病院がいい病院」などとありますが、確かに症例件数はある程度の判断基準にはなります。
しかしですね・・・
症例数が絶対ではない(上手い下手は別として)
A病院 100症例 / 年
B病院 20症例 / 年
A病院の方が経験豊富そうに見えます。しかし、A病院は執刀医10人、B病院は執刀医1人で切り盛りしているとなると、実際は経験豊富な執刀医がいるのはB病院なのです(しつこいですが上手い下手は別として)。
要は「症例数と執刀医数との兼合い」です。
ただ、症例数と執刀医の割合なんてその病院に勤務していてもうまく伝えられません。大体年間◯◯◯件として、切ってる先生が◯人。でもA先生とB先生は切りまくってるけどC先生は数例しかやってないしなあ…と一概には言えないのです。
顎変形症手術を得意にしているのはこの先生!という内情を知っていればよいですが、流石にそこまでは患者に教えてくれませんから下手な先生にあたってしまう可能性もあります。
なら、どうやって見分けんのよ・・・。
最低限この病院だけは避けろ!
世の中には顎変形症が年間5件未満、下手すると年間1,2件という病院もあるのです。やる時はお祭り状態。
これが本当の出血大サービスで、大抵はとんでもないことになります。
少なくともそういう所だけは絶対に外しましょう。
何故そんなに症例数が少ないかというと、顎変形症は大抵が開業医からの紹介なので、
顎変形症手術が極端に少ない ≒ 「あそこは抜歯くらいなら送るけど、顎変形症を任せるのはヤバイ」
です。
じゃあ、その年間1,2件は何かというと、「噛み合わせが悪いしアゴが出てるの何とかならんかな・・・そういえばあそこの病院に口腔外科が・・・」と患者が自分からその病院の初診に突っ込んでしまう悲劇。
まさにカモネギ。
周りは「可哀想にまた犠牲者が・・・」と思いますが、流石に「病院を変えた方が良い」などとは言えません。そうなってしまった人は自分の運の無さを呪いましょう。
注意
有名な執刀医がいて、その先生宛にバンバン紹介患者が送られていましたが、その先生の退職とともに紹介患者が激減した病院もあります。要は去年までの症例数だけなら大丈夫そうですが、今は上手い術者がいない、というケースもありますので気をつけて下さい。
どこらへんがボーダーなの?
例えばこちらの病院
具体的な例は難しいなあ、と思っていましたが、そういやあそこなら気兼ねなく良心の呵責も感じず晒してもいいやと思いまして・・・はっはっは。
常勤を見るとどうやら慶應大学口腔外科の派遣先のようです。
慶應大学の口腔外科ってのは色々内部事情があり、教授が口腔外科専門じゃないあたりで察して下さい。これ系の話は後日「行ってはいけない口腔外科 入局編」で書く予定・・・。
静岡市立清水病院の症例数は?
年間の顎変形症手術は約10件前後で推移しているようです。
ここらへんがボーダーじゃないですかね。
年間10件前後は微妙な数字で、もしこれが大学病院なら絶対に止めといたほうがいい!と強く言えるのですが、市中病院は医局員も少ないので集中してやらせているケースも考えられますから、もしかしたらまあまあなのかもしれません。
ま、そんな中途半端なボーダーも避ければいいだけなんですが。
まとめ
昔の偉い人も仰っています。
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