いやあ、ブログの定期的な更新って難しいですね・・・
最初は研修医後の進路について。
ざっくりと分けるなら
1.大学の各講座
2.市中病院口腔外科
3.開業医(実家含む)で勤務医
4.大学院生
5.その他
といったところですかね。
今回は主に1、2の話をします。
入局し医局員となった場合、どのようなポストがあるのでしょうか。
上位有給医局員
世間一般的な正社員です。
大学病院なら教授を筆頭に准教授(昔の助教授)・講師・助教。
市中病院なら部長(医長)以下役職名は色々。
皆が憧れる正社員ですが、大学などは大抵が◯年で更新が必要という任期制。
「更新要件は任期内で論文△本、うち✕本は英語論文。書けなければクビ。」
「任期内に助教から講師に昇進しなかったらクビ。」
など、施設によって更新要件は様々です。
更新要件を満たしていても教授の一声で更新できない(クビ)場合もあります。
怖いですねえ。
市中病院は任期など関係ないところが多いですが、大抵は大学医局人事の一環となっており、部長といえども母体の教授の意向で異動になる場合があります。
怖いですねえ。
大学病院も市中病院も大抵は上が詰まっているため枠がなく、研修医上がりですぐに上位有給枠に食い込むのは困難です。
裏を返すと、研修終了後にすぐ上位有給枠になれるような医局は「人材の層がかなり薄い」と考えて間違いありません。
その上、指導医が下手すぎる・人格が破綻している、など何らかの理由で前任者が早々に逃げ出している可能性が高い。
市中病院は大学病院とは少し状況が異なるため一概には言えませんが、大学病院で研修終了後すぐに助教になれるようなとこはかなり危ないと思ってください。助教の人達が卒後何年目でなれたのか聞いてみましょう。
「うちは研修医終わったらすぐに助教になれることが多いから生活も心配ないよ!」という職場は、上級医がろくな指導ができず無駄に歳だけ経た何もできない口腔外科医になる可能性があるということです。
下位有給医局員
一応有給医局員ですが、額は上位有給枠の足元にも及びません。
大抵は手取り10数万円、「月の手取り一桁、ボーナスなし」という層が一番底辺でしょうか。給与が出るだけマシとはいえ生活がままならない人達も多いので、歯科医師ですがバイトや仕送りで生計を立てます。
日雇い医局員という制度もあり、日給です。年末年始やゴールデンウィークなどで休日が増えると勤務日が減るため給与が減ります。口腔外科だと入院患者がいるため回診やらなんやらで休日に出勤はしますが、「サービス勤務」で業務日としてカウントされません。悲しい話です。
下は国際研修協力機構(JITCO)の「ストップ不適正事例」という、海外からの技能実習生達は最低賃金以下で搾取されています!を訴えたページですが、歯科医師の下位有給枠はこの技能実習生並の給与なんですよ。
6年(+α?)かけて大学を卒業して国家試験に合格し歯科医師になったのに・・・。
無給医局員
給料が発生しません。
でも臨床はします。
何が魅力なんでしょうか。
最近、医科では無給医局員の存在が軽く問題になっています(昔からあった制度でほぼ周知されていたため誰も騒いでいなかった)。
歯科業界は無給医局員などでは誰も騒ぎません。
何故なら・・・
無給かつ上納金がある医局員
考える限り、ここが歯科業界の最底辺です。
もう無給医なんて全く問題になりません。
無給どころか、年間◯万円~◯◯万円を大学に払って医局員になっているのです。大学院生じゃないですよ。単なる医局員です。
しかも外で働いていて気が向いた時に顔を出すとかではなく、常勤と同じくフル出勤フル臨床が義務という講座もあったりします。世の中こんな搾取があっていいのかと思うのですが、意外とこの枠を選ぶ奴隷気質に満ち溢れた歯科医師の方々が・・・いや奴隷ですら賃金が発生するケースがあったので待遇としては奴隷以下。
何が魅力なんでしょうか。
「無給上納医局員」を選んでしまう理由
見渡すと、認定医など「資格が欲しい」が一番でしょうかねえ。
学会の認定医・専門医などの資格は大学所属でなければ取得困難な場合が多いのです。
・資格は欲しいが所属するための有給枠がなく、かといって無給枠すら無い。
・資格は取りたいが大学は3年くらいでバイバイしたい。
・講座によっては大学院生は臨床をしてはいけないから資格が取れない。
・大学院生は御礼奉公があるかもしれないから4年で済まない可能性がイヤ。
・研究は面倒そうだから大学院生はイヤ。
・途中で辞めたくなった時に大学院生だと未練が残る。
こんなとこですかね。
大学院生になりたくない理由ばかりですが・・・・大学や講座によって異なるのでこれもリサーチしましょう。個人的には大学に年間数十万払って数年残るなら大学院に入ったほうが良いとは思います。
居付く予定ではなかったのにズルズルと在籍を続けてしまい、「こんなことなら大学院に入って学位を取ればよかった・・・」という人も見ました。
ま、最終的に決めるのは自分自身です。
まとめ
・すぐに助教になれる口腔外科は危ない可能性が高い。
・無給、上納医局員の今後は医科への対応次第?
厚労省さんの無給医問題への対応によっては各歯学部病院は対応に大わらわとなるかもしれません。個人的にはあの酷すぎるシステムは燃え上がって欲しい。
今までは名目上「研修」という体で「労働」ではないとしていたのでしょうが、実際は診療をしているためそんな言い訳がいつまでも続けられるでしょうか。
いやーどうなるか楽しみだなあ。
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カイジの地下通貨「ペリカ」の様に、大学も独自通貨を作ってそれを支給という形にすれば・・・学食で使えるとか医局費として使えるとかw