やさぐれ歯科医院

白い天使クリスチャン・ゼル博士を目指す歯科医の戯言

~サルでも書ける医科へのおてがみ教室~ おまけ

「医科へのおてがみ教室」一連で、いくつか指摘がありましたので返答を。

 

照会状に通院している疾患名を書いたほうが良いのでは?

【糖尿病で】貴院通院中とのことでした(以下略)

てな感じでしょうか。

う~ん、疾患名は本当は書いてもいいのですが、「サルでも書ける」を追求した結果ああなりました。

確かに複数通院しているお年寄りなんかは記憶が曖昧なことも。お薬手帳で通院先を確認しようにも、投薬されず検査だけで経過観察の場合もあります。

照会状に疾患名を書かなかった場合、欲しい情報が当該医院でなくても返書には【既往】は書かれるはずなので、そこで確認してもよいのではないかと思います。糖尿病のことを聞きたかったのに、返書に糖尿病の情報がなければ「これは・・・おかしい・・・」と思うセンスを持ちましょう。

 

糖尿病のくだりは原文のままでよいのでは

血糖値のコントロール状況(HbA1c、空腹時血糖値)、投薬内容をお教え下さい。

これはそのままで、ということでしょうか。

しかし、これは糖尿病連携手帳・お薬手帳の確認でほぼ終了。

糖尿病連携手帳ですが、結構詳しい情報が記載されていますので要チェックです。

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HbA1cはともかく、投薬内容を聞かないのはあまり気にしないからです。投薬内容が内服かインスリンかで歯科処置内容を変えていません。皆さん何か変えているんですかね。まさか・・・抗菌薬を違う種類にしたりしていないでしょうね・・・。

自分では、糖尿病連携手帳とお薬手帳が確認できたら糖尿病に関しては余程のことがない限り照会状を出しません。それ以上に確認する内容がないからです。この記載以外に確認することは「低血糖発作がどれくらい出るか」くらいです。

 

手帳の記載内容がよくわからないような歯科医師ならば、医科から返信来ても内容が理解できません。そもそも、そんな歯科医師は糖尿病患者を診るべきではない。大きい病院へ紹介しましょう。この御時世、沢山いますけれどもね糖尿病患者・・・。

また、前にも書きましたが、糖尿病連携手帳・お薬手帳が確認できないような糖尿病患者は間違いなく「地雷」なので、どうしようもない事態以外は診ずに「逃げ」の一手を打つように。

 

ちなみに糖尿病連携手帳、歯科もきちんと書く欄があります。

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 まとめ

「できる・わかる」歯科医師は照会状をどう細かく書いてもいいと思います。

それがその歯科医師にとって「必要な情報」だからです。

しかし、以前書きましたが、心電図が読めない歯科医師には心電図付きの高い生体モニタは必要ないのです。読めないんですから無駄なオプションになります。

これと一緒で、知識量が少ない歯科医師があれこれ聞いても、貰った情報が診療にフィードバックできなければ医科側の「無駄な一手間」になるだけです。

 

今回の連作は「もうどう書いていいのかわからん!お手上げ!」とか、「それ聞いてどうすんの?意味あるの?」といった歯科医師向けの入り口として、本っっっっ当の最低限に絞りに絞った書き方の紹介です。

いつまでもサルのままスタート地点をウロウロするのではなく、メジャーな疾患ならばある程度の照会状が書け診療にフィードバックできるヒトへの進化を目指しましょう!

 

病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌

病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: メディックメディア
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 単行本