あけおめことよろ
先日Twitterで、歯科治療に使用する薬剤「次亜塩素酸ナトリウム」でアレルギーが生じた、という歯科医師の書き込みがありました。(本当に次亜塩素酸ナトリウムのアレルギーかどうかは本題から外れるので今回は置いときます。)
症状は「嘔吐・顔面蒼白・血圧低下・倦怠感」だったらしいのですが、それに対して別な歯科医師?から
「嘔吐、顔面蒼白、倦怠感、血圧低下はいずれもアレルギーの特徴を表さないと思うのですが、後学のために先生がアレルギー反応と思った根拠を教えていただけますか?」
という目を疑う質問がされており、久々に
腰 が 抜 け ま し た。
ちなみに1回目の腰抜け話はこちら。内容的には2010年くらいの話なのですが、今の某大学国家試験の成績を見ると、完全に凋落の布石だったのですね・・・。
そりゃあんな学生・研修医教育してたら詰みますわ。
腰が抜けた理由
アレルギーの症状は多岐にわたりますが、やはり怖いのはアナフィラキシー。下記は日本アレルギー学会のアナフィラキシーガイドライン(2014年)からの抜粋です。
アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」をいう。
「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」を、アナフィラキシーショックという。
「複数臓器に全身性にアレルギー症状」は、これまたガイドラインから図を拝借。
おわかりでしょうか。
「嘔吐・顔面蒼白・血圧低下・倦怠感」はアレルギーの特徴を表さないどころか、重篤なアレルギーの特徴なのです。
歯科医師は絶対に知っていなければいけない知識です。
皮膚症状を知らない歯科医師はいないでしょう。意外と抜け落ちているのが嘔吐や腹痛といった「消化器症状」。眠気・倦怠感なんかも特徴の一つです。
小児のレジンとか根治、局麻してラバーして治療してると寝ちゃう子が多いんですが、モニタリングなんかしてませんから「ま、まさか・・・」とドキドキしながら毎回治療してるんですよ。
で、さっきの質問を投げかけていた先生にツッコミをいれたところ、下記のようなお返事をいただいたのですが…
ご指摘ありがとうございます。一般的なアレルギーの特徴という認識しかない上でのツイートで失礼しました。そうなると私のような一介の歯科医師には、ますます診断が難しそうですね…
歯科医師に「重篤なアレルギー症状」は必須知識なのか
必須です。絶対に間違いなく必須。死にます。
歯のプレパレーションがーとか、フッ化物がーよりも、この重篤なアレルギー症状こそ脳のシワの奥の奥へ刻みつけ絶対に忘れてはいけません。知らない奴は臨床に出てくるんじゃない、と言い切って良いレベル。
一介の歯科医師だろうが、診療で薬剤を使用する以上は知らなければいけません。ラテックス(グローブ)でも生じるので、健診業務しかしていない人でも知らないとアウト。昔も今後も研究で論文書きだけです!てな歯科医師ならまぁ…。
この「病院勤務とかじゃない一介の歯科医師にはわからなくてもしょうがないよね」という態度は言語道断、万死に値しますが、そういう方のために次回はちょっと昔話をしましょう。
長くなったので後編へ続く!